Inventions And Dimensions ハービー・ハンコック
最近は音楽に関しては昔に比べて沢山聴くようになっている。でも、しっかりとアルバム単位で聴くことも少なくなった。ましてや、A面B面のあるアナログのLPレコードで聴くような機会もすくないもの。もっぱら、音楽はストリーミングに頼ることになってしまっている。だからアルバムとして聴いているものの、その感覚が薄れてしまっていることも確かなことである。そんななかでも、かつて、CDで何度も聴いているようなものを、結局はストリーミングでも繰り返し聴くことになっている。安心することが出来るのかもしれない。
今回の紹介アルバムは握手したこともあるピアニストのハービー・ハンコックのサードアルバムになる。1963年録音のもの。その時代には一般的といえるハードバップのような主流のジャズではない。リズム主体であるが、クールでかっこいい感じ。アルバムの題名のとおりに新しいことをしたかった実験作のようにも感じる。なのでちょっと粗削り感があるような気がする。音楽的には私には知識がないので説明することもしにくいけれども、単純にかっこいい感じがする。いま聴いても全然古い感じがしない。3曲目のジャック・ラビットが個人的に好き。粗々しさの中にも、まとまりがある不思議な演奏。4曲目のミモザに関しては、のちのハービーの数々ある路線のひとつが垣間見える。1968年のアルバム「スピーク・ライク・ア・チャイルド」に通じる洗練されているものが展開される。まだフュージョン的な演奏もまだなかった時代だったから、そういった意味でもかなり当時としては新しい音楽だったろう。むしろ現在ではフュージョンの方が古く感じるくらいである。