ビル・エヴァンス 【You Must Believe In Spring】

ビル・エヴァンスに関しては、よく聴くことが多い。スイング感もあって、前のり気味の演奏と鋭い刃物のような演奏、それでいて抒情性もあるバランスの良いピアノスタイルが好きなのです。時代によってはピアノの叩き方も異なったり、状況に応じて、他のメンバーによって、それからコンセプトによっても、なんだか雰囲気の違う演奏になることもある。でも、ほとんど駄盤にならないのがエヴァンスの特徴。初期の端正なもの、後期の激しいものと色々な演奏をしているし、多重録音なんかの挑戦とかもしているアーティストでもある。ピアノトリオのものにしておけば、演奏のハズレがありません。音質はともかく。

今回紹介するのは、ビル・エヴァンス晩年の作品。

【You Must Believe In Spring】トリオアルバムになる。

52歳のときの1977年の録音。1980年に亡くなる前に録音されたもの。発表は死後のこと。

元妻のエレイン夫人も、実兄のハリー・エヴァンスも自殺で亡くした後のアルバムで、切なさ、悲しさが凄く表現されすぎている作品ということで、没後までお蔵入りにしていたのかと思う。1曲目には元妻のエレインに捧げる曲。あとにも実兄ハリーに捧げる曲が演奏されている。

聴くと、確かに抒情的な部分が多い感じはするけど、なんだか単に甘い音楽として終わらないのがエヴァンスの特徴でもある。

ボーナストラックの無い場合の最後の曲は7曲目で「MASHのテーマ」の演奏がある。実はこの演奏がすごくいい。これは、『M★A★S★H マッシュ』という1970年の映画、アメリカの朝鮮戦争を舞台にした、3人の軍医を描くブラックコメディ映画の中の男性コーラスボーカル入りの曲が原曲です。コメディなのだけど、なんとも哀愁のある良い曲をさらりと映画の中で良い感じで流してくる。エヴァンスはこれを見事にジャズに昇華させている。何度もエヴァンスはこの「MASHのテーマ」を演奏しているが、この演奏が一番好みです。バランスの良い演奏の感じがします。

全部で7曲で構成されるアルバム。CD化されるにあたって、ボーナストラックが3曲最後に追加されていることが多い。今まで抒情的に構成されてきたのに、この追加の3曲はすごく元気に演奏されていて、アルバムとしては残念になっている。演奏が悪いわけではないのだけど。

私はオリジナルのボーナストラックのないCDを所有してる。

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