先日、私は新しいオーディオシステムを構築しました。ここ数年CDプレーヤーを使わない方法でオーディオを高音質に鳴らすという実験をしてきて試行錯誤を続けてきましたが、段々オーディオとしての完成度が高くなってまいりました。
このたびSMSL DO300EXという旭化成(AKM)のフラッグシップチップを搭載した高性能DAC(デジタルをアナログに変換する装置)を導入しました。SMLSは中国メーカーものでコスパが凄く高いのです。現在そのDACを慣らし運転をしているところ。それと、昨年から利用しているWiiM Pro Plusというネットワークストリーマーを核にしたシステムです。これはストリーマー(ストリームを直接聴くための装置)として利用するのではなく、Roonの再生するための装置としてだけ利用するようにしてます。これらをRoon ROCKのサーバーと有線LANで繋ぐことで、非常に安定した高音質のネットワークオーディオ環境が完成しました。
そして、このシステムを構築して改めて感じたのが、コスパの高い「現代の最高の音」は、実店舗ではなく、ネットの中にあるという現実です。
なぜWiim やSMLSの商品が店舗にないのか?
私が選んだWiiM Pro PlusやSMSLのDACは、ネット上では非常に高い評価と人気を集めています。しかし、オーディオ専門店や家電量販店の店頭でこれらが並んでいるのを見たことはありません。
現在のオーディオ市場には、大きな「ギャップ」が存在します。
1. 高級専門店が追うのは「ハイエンド」
数十万円から数百万円のシステムが並ぶ高級オーディオ専門店では、取り扱うストリーマーもまた、超高価格帯の製品が中心です。彼らは、コストパフォーマンスよりも、絶対的な性能を追求します。
2. 家電店が追うのは「手軽さ」
一方、一般的な家電量販店の棚に並ぶのは、数千円~数万円のBluetoothスピーカーや、国産メーカーの普及価格帯のアンプなどです。ここでは、「気軽に使えるか」や「メーカーのブランド力」が重視され、ネットワークの最適化やRoonといった専門的な分野は扱われません。
結果として、私たち中級ユーザーにとって最も「美味しく」、技術的なメリットも大きい「高コスパなネットワーク・システム」の製品群が、実店舗の棚からすっぽり抜け落ちてしまっているのです。
「Roon」の存在すら知られていない現実
このギャップを象徴するのが、Roonという存在です。これは装置ではなくて、音楽管理再生専用のソフトウェアです。
私が導入したRoonは、音楽の管理、再生、機器の連携をシームレスに行う、現代ネットワークオーディオの心臓部です。音質の安定性、操作の快適性において他の追随を許しません。
しかし、オーディオ雑誌やネットの記事を熱心に読まない限り、Roonの存在を知らないオーディオファンはまだまだ多いのが現状です。ストリーミング時代の最高のソース再生環境であるRoonが「当たり前」にならない限り、Wiim Pro Plusが店頭に並ぶことは難しいでしょう。ただ、ストリームを聴く機械としてもコスパが高いので、もう少し店頭に置いても良いような気もしますが。
現代の「賢いオーディオの作法」
私の結論として、現時点のオーディオ趣味における「最も賢い作法」は以下の通りです。
- 知識をネットで得る: 実際に使用しているユーザーのレビューや専門ブログ、海外の評価などを参考に、製品の真の価値(コスパと技術仕様)を把握する。
- トランスポートの重要性を理解する: DACだけでなく、WiiM Pro Plusのようなストリーマーや、Roon ROCK、有線LANといった新しいオーディオの「音の上流」への知識を得ること。
- オンラインで購入する: 実店舗では扱われない、SMSLやToppingといったブランドの高性能製品を、ネットショップで入手する。
私の構築したシステムは、この「現代の作法」に則ったものです。結果として、高級機に匹敵する安定性と音質を、非常に合理的な投資額で実現することができました。
これは、従来の「お店で試聴して高いものを買う」というスタイルから、「自分で調べて、最高の効率でシステムを構築する」という、新しいオーディオの時代の幕開けなのかもしれません。
新しいシステムで聴く音楽は、本当に楽しいものですね。