誰の家にも眠っている古いPC。動作が遅く、もう使い道がないと思っていませんか? 私は、かつて使っていたファンレスのミニPC(NUCBOX3)を、音楽再生システムにおいて最も重要な役割を担う「再生専用機」として蘇らせることに成功しました。
簡単に言うと、今まで使っていたミニオーディオ装置を無料で最先端のネットワークオーディオにしてみたということです。
サブシステムには、この古いPCが組み込まれています。新しいものを購入せずに古くなったものを組み合わせて新たな装置を構築してみました。
【活用した機器】
・Roon Core: Intelnuc (cpuがcorei3 8世代モデル)
Roon ROCKをOSにしてます。(サーバーとして使用)ルーターに有線LAN直接接続。メインシステムで利用しているものです。
・再生専用機(RoonBridge): ファンレス ミニPC (NUCBOX3) 。使わなくなったかなりスペックの低いパソコン(cpuはJ4125)です。これをRoon CoreからWi-Fiで受けます。
・DDC: Fostex HP-A3(デジタル・光デジタル・コンバーターとして使用)これも再利用です。
・DAC/アンプ: CR-N765(オンキョー)DAC内蔵のアンプ。元々CDプレーヤー内蔵のもの。
成功の鍵は「専用化」と「ノイズ遮断」
音質を向上させるため、古いPCには以下の二つの重要な役割と、ノイズ対策を徹底しました。
1. RoonBridgeで「専用機」化
安価なPCにRoon Bridgeソフトウェアのみをインストールし、その他の不要なアプリやサービス(ブラウザ、通知、ゲームなど)は全て停止。PCを「CoreからWi-Fiでデータを受け取り、DACに出力する」というただ一つの作業に集中させました。これにより、PCのリソースが音楽再生に最大限に割り振られ、安定性と音質が向上しました。本当ならばWindow11をやめて、新たに専用のOSにすればよいのでしょうが、とりあえずはWindowsのまま構築してみました。
2. HP-A3をDDCとして活用する妙
最も効果的だったのが、Fostex HP-A3を「DDC」として活用した点です。
通常、PCオーディオではPCのUSB出力を直接DACに入れますが、PCのUSB出力はノイズを多く含みがちです。それと、このHP-A3のDACの性能よりもDAC内蔵のアンプの方のDACの方が性能が良かったので、そちらの方が良いと判断しました。
対策: PC 〜HP-A3 (DDC) 〜光デジタル出力 〜アンプ内蔵のDAC
HP-A3は、USBで受け取ったPCの信号を、ノイズを乗せない光デジタル信号に変換するDDC(デジタル・デジタル・コンバーター)として機能させました。
特に光ケーブルは電気的なノイズを完全に遮断できるため、古いPCが抱えるノイズ問題を根本から解決し、よりクリアになった新しいDACの性能を最大限に引き出すことができました。
結果:予想以上の高音質サブシステムが完成!
ファンレスPCの静音性と、DDCによるノイズ遮断が組み合わさった結果、と比較的性能の良いDACを組み合わせた結果、サブシステムとは思えないほど透明感があり、非常にクリアな音場感を持つシステムが完成しました。
古くなった機器でも、その機器が持つ「特定の機能」(この場合はHP-A3のデジタル出力機能)に焦点を当てて再定義すれば、システム全体の欠点を解消する重要なパーツとして活躍できます。このサブシステムに関しては全くお金をかけていません。ちなみに操作はスマホアプリのRoon(無料)を使います。
眠っている機器があれば、ぜひ一度、その「特定の機能」に注目して、オーディオシステムへの組み込みを検討してみてはいかがでしょうか。

