油彩画家 仲 浩克 の公式サイト
2020-09-29

小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道

「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道」

これは、2004年、メジャーリーグ年間安打記録を破った際の記者会見でのイチローの言葉。イチローこと鈴木一朗。

減ったり増えたりする打率よりも安打数にこだわったイチローらしい言葉です。安打数は増えても減ることがないから、積み重なることを意識しやすい。単純な考え方で目標にもしやすいものです。本当はもっと深い意味があるのでしょうが、あんまり深読みせずに単純に考えて、このことを実行した方が面白いのでやってみてます。

自分の場合は、油絵の作品の完成をイチローの言うヒットと見なしている。ホームランになることは、まだ無いけれど、とにかく、ヒット数にこだわっている。つまり、油絵作品の制作数を増やすということ。

油絵を沢山描いたらどうなるのかってのを10年ほど前から実験することにしてみました。最初は3か月1枚の目標で、その次は1か月に1枚。その次は10日で1枚と描く枚数を増やしてきた。現在は1週間に1枚の油絵を完成させていく感じになっている。このペースを年間とおすには、自分にとっては、結構大変な感じがする。

体調が悪いときとか、出かけることが多いときには、絵を描くことだってできないし、特に、油絵は乾くのが遅いこともあって、そんなに早く描くことも難しかったりする。そもそも、自分は毎日コツコツ描くタイプではなくて、調子にのって描くタイプなので、調子に左右されるから、描き続けるのは難しかったりする。全く描けない時期だってあるのです。

でも、「とんでもないところへ行くただひとつの道」ということなのだから、無理しない程度に描くことをしている。実際にヒットにしているのか三振にしているか分からないけれど、とにかく、現状は作品完成をヒットと思い込んで作品数にこだわっている。

というのも、油絵を本格的に始めたのが40代になってからで、美術を学校で学んだ人に比較して、あまり描いていなかったから。デッサン練習も含めて沢山描いてきた人に比べると、自分は圧倒的に描いてきてないという事実があるのです。なので、少しずつ、枚数を積み重ねてます。

ゴッホだって、10年ほどの画家生活で油絵だけで800枚以上描いているみたいだし、それを考えると、今描いている枚数って、決して多いわけでもない。でも、自分としては、少しずつ、描くことが出来ている段階にやっとなった感じなのです。だから、少しは成長したのかとも思っている。いつも、次の1枚のことだけを考えていて、その積み重ねが結果的に沢山の油絵になっているのは、すごく実感します。

沢山の油絵を描いた中で少しでもホームランが生まれると嬉しいですね。

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