オーディオをやっていると、どうしても「スペックの数字」が気になってしまうものです。
特にRoonを使っていると、強力なDSP機能で「44.1kHzを192kHzやDSDにアップサンプリング」したくなるのが人情というもの。
私もこれまで色々と試行錯誤してきましたが、最近、一つの結論に達しました。
「Roonでのアップサンプリング、もうやめました」
今回は、なぜ数字を追いかけるのをやめたのか、そして現在辿り着いた「劇的に音楽が楽しくなる機材の役割分担」についてお話しします。
人間に聴こえない領域の計算に、気を揉むのをやめる
アップサンプリングが処理しているのは、突き詰めれば「人間には絶対に聴こえない20kHz以上の超高音域の外側」の世界です。
確かに技術的にはデジタルノイズを遠くに追いやる処理をしていますが、劇的に音が変わるわけではありません。むしろ、優秀な録音のJAZZのCD音源(44.1kHz/16bit)をそのまま鳴らすと、それだけで目の前にウッドベースやサックスが立ち上がるような、いわゆる「ハイレゾのような音」がすでに聴こえてきます。
器(スペックの数字)を大きくすることに執着するよりも、録音に含まれている「聴こえる音」のエネルギーをストレートに味わう方が、遥かに本質的ではないか。そう気づいたのがきっかけでした。
行き着いた、現代オーディオの「三位一体」役割分担
アップサンプリングなどの余計な計算をやめた結果、我が家のオーディオシステムは、それぞれの機材が「一番得意な仕事」だけに集中する、究極にシンプルな形に落ち着きました。
現在の役割分担は、このような「三位一体」の形です。
上流(Roon):純度100%の伝送に徹する
Roonには一切の重たい音響計算(DSP)をさせず、最高の音楽データベース・プレーヤーとして、「録音されたそのままのデータ」をストレートに送り出すことだけに徹してもらいます。サーバーの負荷も激減し、精神的にも非常にクリーンです。
中流(WiiM Pro Plus):部屋の状況に合わせた「物理の補正」
スピーカーから出た音は、どうしても部屋の壁や床の反射による「固有の膨らみやクセ」の影響を受けます。そこをWiiMの優秀なDSP(パラメトリックEQ)を使ってスマートに補正します。データに無理な加工をするのではなく、「空間とスピーカーの調和」を整える役割です。
下流(外部DAC):最後の味付け「質感の調律」
部屋のクセが取れてストレートに届いたクリーンな音に対して、最後の出口(DAC)で自分好みの味付けを施します。デジタルフィルターの切り替えや、サウンドカラー機能を使って、JAZZに最も心地よい「アナログ的な温かみや、生々しい質感」の最後の化粧を仕上げます。
まとめ:機材を信じて、音楽に没頭する贅沢
「上流のデータは生のまま届け、中流で部屋の鳴り方を整え、最後の出口で好みの味に仕立てる」
この役割分担が決まってから、「設定をどうしようか」「数字を上げたらどうなるか」という、音楽を聴く上での「ノイズ」から完全に解放されました。
デジタルの正確さと圧倒的な静寂をベースにしながら、アナログ特有のあの太く、温かいコクのある音を、WiiMとDACの連携でいつでもサッと呼び出すことができる。現代のネットワークオーディオだからこそできる、本当に贅沢で合理的なシステムが完成したと感じています。
今夜も余計なことは考えず、ストレートに流れてくるJAZZの熱量に、ただただ身を委ねようと思います。

