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孤高の音世界を紡ぐギタリスト、ラルフ・タウナー

ジャズ

ジャズ、クラシック、そして民族音楽のエッセンスが溶け合う、唯一無二のギタリストをご存知でしょうか?彼の名はラルフ・タウナー。ECMレーベルを代表するアーティストであり、その繊細かつ深遠なギターサウンドは、一度聴いたら忘れられない魅力に満ちています。

遅咲きの才能が拓いた独自のサウンド

ラルフ・タウナーは1940年生まれ、ギターを始めたのは22歳と、キャリアのスタートは決して早くありませんでした。しかし、ウィーンでのクラシックギターの研鑽と、ジャズ・ピアノのアプローチをギターに応用するという独自の着想が、彼の音楽に比類なき深みを与えました。
彼のサウンドを語る上で欠かせないのが、使用する楽器です。彼は6弦のクラシックギター12弦のアコースティックギターを巧みに使い分けます。曲によって持ち替えたり、繊細なタッチで多彩な音色を引き出したりする様は、まさに音の魔術師。特に、多くの作品をリリースしているドイツの名門レーベル「ECM」の静謐な世界観と、彼の透き通るようなギターの音色が完璧に調和しているのには感動すら覚えます。

作曲と即興が織りなす無限の広がり

ラルフ・タウナーの音楽は、単なるジャズギターの枠には収まりません。彼のレパートリーのほとんどは自身のオリジナル曲で構成され、その中に即興的なパートが織り交ぜられています。ジョージ・ガーシュウィンやジョン・コルトレーン、さらにはルネサンス期の作曲家ジョン・ダウランドなど、彼が影響を受けた音楽の幅広さも、その奥深い音楽性に繋がっています。
また、彼が長年活動を続けるグループ「オレゴン」では、インド音楽をはじめとするエスニックな要素を取り入れ、さらにスケールの大きな音楽世界を展開しています。ゲイリー・バートンやジョン・アバークロンビーといったECMの盟友たちとの共演作も多く、それぞれの化学反応もまた聴きどころです。

聴くほどに心に染み渡る代表作

もしラルフ・タウナーの世界に触れてみたいなら、次をおすすめ。

『Sargasso Sea』(1976年):ジョン・アバークロンビーとのデュオで、互いのギターが織りなす対話が素晴らしい一枚。

『At First Light』(2023年):最新のソロアルバムで、円熟味を増した彼の現在の音を堪能できます。

オレゴンでの演奏が私は好みです。

『Outo Of The Woods』(1978年):ECM特有の静謐さに加えて、より開放的でダイナミックな一面も感じられるのが特徴です。

ラルフ・タウナーの音楽は、静かな夜にじっくりと耳を傾けるのに最適です。彼の奏でるギターの音色は、あなたの心に穏やかな波紋を広げ、新たな音楽の発見をもたらしてくれるでしょう。

この記事を書いた人

札幌在住油彩画家。音楽鑑賞(ジャズ)、オーディオ、散歩、ドライブ、サイト運営が好き。

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