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ジャズの灯は消えないけれど、今ひとつ普及しない理由

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エンタメが飽和する現代においても、なぜか私の心に深く響くジャズの語法。それは理屈ではなく、ただただ「しっくりくる」という感覚なのだと思います。

YouTubeでミートたけしさん(ミュージシャンの川島竜さんというお名前なのですね)が、ジャズが一般に広まりにくい理由について語られていました。その内容は、私自身が漠然と感じていたことと重なる部分が多く、深く考えさせられました。

動画の中で指摘されていたのは、主に以下の点でした。

  • ミュージシャンの姿勢: 自己の音楽性追求が先行し、聴衆への意識が希薄になりがちであること。
  • 音楽性の特殊性: 即興演奏の理解には元のメロディーの知識が必要であり、スタンダードナンバーが現代の聴衆には馴染みが薄いこと。
  • 排他的な雰囲気: 「これくらい知っておくべき」といった空気が、新規の聴衆を遠ざけてしまう可能性。
  • 供給過多: 80~90年代のジャズブームによるミュージシャンやジャズクラブの増加が、競争激化と収入の不安定さを招いていること。

芸術と捉えれば、ジャズが内向きになるのはある意味当然なのかもしれません。しかし、川島さんが仰るように、もう少し聴衆に歩み寄る表現があっても良いのかもしれません。確かに、ジャズをより深く楽しむためにはスタンダードナンバーを知っているに越したことはありません。しかし、今の若い世代にとって、それは必ずしも当たり前の知識ではありません。

それに、今は音楽以外のエンタメが本当に溢れています。誰もが知っているような新しいスタンダードナンバーが生まれにくい現状も、裾野が広がりにくい一因なのかもしれません。

ジャズの世界に排他的な雰囲気があるというのは、否定できない事実でしょう。オーディオマニアやジャズレコードマニアといった、ある種特殊なイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。ある程度聴き込むことでその奥深さに魅了されるのですが、その入り口があまりにも高いと感じられてしまうのかもしれません。

一方で、カフェなどではBGMとしてジャズが流れていることが多いのも事実です。生活の中に溶け込んでいるという意味では普及していると言えるのかもしれませんが、そこで流れている音楽に耳を傾けている人がどれだけいるでしょうか。

80年代から90年代にかけては、確かにジャズブームがありました。私もその頃にジャズの魅力に惹き込まれた一人です。FMラジオではジャズ番組でCD化された音源を中心に放送され、今と比べてエンタメの選択肢が限られていたこともあり、ラジオは大きな情報源であり、エンターテイメントでした。CDが普及した時代でもあり、かつての名盤を復刻したことも大きな現象だったと思います。ジャズフェスティバルも各地で開催され、バブル経済の後押しもあり、海外の著名なミュージシャンが数多く来日していました。あの頃の熱気は今となっては少し懐かしいものです。

ジャズは、時代とともにその姿を変えながらも、確かにそこに存在し続けています。もしかしたら、もっと肩の力を抜いて、その多様な表情に触れてみることから始めるのが良いのかもしれません。スタンダードナンバーを知らなくても、難解な理論を知らなくても、心に響く音があれば、それは自分にとってのジャズになるのだと思います。

ミートたけしさんの動画は、改めてジャズの現状と、その未来について考える良いきっかけになりました。私自身も、もっとオープンな気持ちでジャズと向き合い、その魅力を周りの人に伝えていけたらと思っています。

この記事を書いた人

札幌在住油彩画家。音楽鑑賞(ジャズ)、オーディオ、散歩、ドライブ、サイト運営が好き。

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